華々しくない合格体験記(案)

R4予備論文合格、口述結果待ちです。新司法試験の勉強の妨げにならない程度に、思うところを発信していこうと思います。

R4予備再現選択科目(国際私法)

国際私法は、選択科目の中でメジャーではなく需要はないかと思いますが、再現の程度が高くUPしやすいので、UPすることにしました。*今日は体調が悪く、あまり重い科目はやりたくなかったのです。

国際私法を選んだ理由はあまりちゃんと覚えてませんが、条文数が少ないからコスパがいいみたいな話を聞いたのと、基本7法は国内の話ばかりなので少し国外に目を向ける方が気が変わっていいかな、みたいなゆるい理由です。実務ではあまり使わなそうですけどね。

択一が終わってから、勉強を始めました。

まず、国際私法 (有斐閣ストゥディア)*大好きなシリーズです。デザイン、薄さなどなど。なぜか地元の図書館にあり、この図書館センスあるね!と感激して借りました。を読んで、

司法試験論文対策 1冊だけで国際私法[第3版]で過去問の傾向を調べて、あれ?ストゥディアじゃ足りなくない?ってなって、*当たり前です。予備試験なめてんのか。

国際関係私法入門〔第4版補訂〕: 国際私法・国際民事手続法・国際取引法演習国際私法 CASE30を辞書代わりに買いました。

結構時間がかかってしまい、「あーもう間に合わない。基本的なところの処理手順だけ抑えて、あとは条文と趣旨だけでその場で何とかしよう。初年度だからみんなもそんな仕上がってないでしょう。というかそうであってくれ。」という気持ちで臨みました。

本番で問題を見て、基本的なところが出たので「予備試験の神様、ありがとう」と心のなかで手を合わせました。

基本的な出題と言っておきながら細かいところ落としてますが、Aが付きました。ありがたや。

設問1
1 AB間の離婚が認められるかは離婚の実質的要件の問題であるから、通則法27条により準拠法を判断する。
27条が準用する25条は、夫婦の男女平等の観点から段階的適用を採用している。*正しくは、「夫婦の問題なので同一の準拠法によるべき、男女平等の観点からもどちらか一方の属人法を優先すべきではない」と書くべきでした。
2 まず、夫婦の本国法が同一か判断する。
ABは甲国籍であり、甲国は地域的不統一法国であるから、38条3項により本国法を判断する。
甲国には甲国人が甲国内のいずれの州に属するかを決めるような属人法の決定基準として用いられる統一的な準国際私法の規則は存在しない。そこで、同項かっこ書により再密接関係地域の法が本国法となる。なお、最密接関係地域は、本国の地域に限定される。
A女は、生まれてから結婚するまでの22年間P州に居住しており、現在35歳のAにとり人生の大半をP州で過ごしている。また親族も同州に居住している。よってP州が再密接関係地域となる。
B男は、生まれてから来日するまでの24年間Q州に居住しており、現在35歳のBにとり人生の大半をQ州で過ごしている。また親族も同州に居住している。よってQ州が再密接関係地域となる。
以上から、AB夫婦の本国法は同一ではない。

3 次に、夫婦の常居所地法が同一かを判断する。
常居所地とは、相当の期間、日常的に居住していることが明らかな地をいう。居住期間、通勤地、家族の居住地を考慮して判断する。
AもBも、日本に11年間居住しており、これは人生の約3分の1にあたる。日本にてAは日本の大学、Bは日本企業に勤務している。家族ABCは日本に居住している。よって、ABの常居所地は日本であって、同一である。以上から、離婚の準拠法は日本法となる。

4 したがって、日本民法を適用して判断すべきである。

設問2
小問1
日本の裁判所はCの親権者をAと定めることができるか。
離婚の際、親権者を誰と定めるかは、離婚の問題(27条)か、親子間の法律関係の問題(32条)か。
離婚の準拠法について定める27条が準用する25条は、夫婦中心の規定になっているのに対し、32条は子の利益を考え子を中心とした規定となっている。親権者が誰となるかについては夫婦より子への影響が大きいことから、後者の問題として32条により準拠法を判断すべきと解する。
子Cの本国法は、Cも甲国籍であることから、38条3項に基づいて本国法を判断する。Cは生まれてから来日するまで家族ABとともにQ州に住んでおり、他の州には住んだことがないから、Q州が最密接関係地となり、Q州民法が本国法となる。
そうすると、子Cと父Bの本国法がQ州民法で同一となるから、Q州民法が準拠法となる。
Q州民法①②によると、12歳のCは未成年であり、離婚をするときの親権は父のみとなるため、母であるAは親権者となることができない。
また、親権を父Bが行うことができるので、未成年後見(35条)も問題とならないし、公序(42条)にも反しないと解する。
以上から、Cの親権者をAと定めることはできない。*時間があれば、Bの暴行→Aによる未成年後見または公序を検討したかった。
小問2
1 離婚せざるを得なくなったことについての精神的苦痛に対する慰謝料
これは離婚の実質的要件と関連するから、離婚の問題として27条によるべきである。ABの離婚の準拠法は、設問1より日本法であるから、日本法を適用して判断すべきである。

2 Bの暴行についての精神的苦痛に対する慰謝料
これは不法行為の問題として、17条により準拠法を判断すべきである。*あれ?理由は?加害行為の結果発生地は日本であるから、日本民法が準拠法となる。そして、明らかにより密接な関係がある地の法はない(20条)。当事者による準拠法の変更(21条)もない。よって、日本民法を適用して判断すべきである。

以上