華々しくない合格体験記(案)

R4予備論文合格、口述結果待ちです。新司法試験の勉強の妨げにならない程度に、思うところを発信していこうと思います。

R4予備刑法再現

こんな間違いだらけだし、ワードがうろ覚え過ぎますが、Aがつきました。間接正犯と事後強盗既遂罪の知識がふわふわしてます。

たぶん、事案とちゃんと向き合って、厚く論じてほしそうなところは厚く論じたこと、なるべく事案を拾って検討したことが評価されたんだと思います。

問題文を読んで、答案構成のときに考えたこと

  • 書くこと多そうだから端的に書こう。最後まで何とか書ききることを最優先にしよう。
  • 刑法はみんな得意だから書き負けないように事案はちゃんと使おう。
  • YとXの違いは示す必要がありそう(Y6歳→道具→間接正犯、X13歳→スナック強盗事件→共謀共同正犯)
  • Xのところで共謀が及ぶ範囲は忘れずに書こう

第1 設問1
1(1)甲がYにぶどうを持ってくるよう言ったことについて、窃盗未遂罪(刑法235条、243条)の間接正犯が成立するか。
ア 甲はなんら実行行為を行っていないが、実行行為とは法益侵害の結果発生の現実的危険を発生させる行為であるから、他者を介しても実行行為となりうる。
具体的には、①その他者が反抗を抑圧されており道具性があり、②利用行為が法益侵害結果発生の現実的危険があり、③利用者に利用意思がある場合に、実行行為と認めうる。
*6歳に大型スーパーで窃盗させるって結構難しくない?迷子になるよ。これって不能犯なんじゃないの?と思いつつ、でも不能犯を論じてる余裕はない。その結果、間接正犯のところで実行行為性も組み込んで論じてみました。

*「反抗を抑圧」って…。強盗罪じゃないんだから。ここは「意思」の抑圧と書くべきでした。
イ 本件で、Yは甲XYと3人暮らしで、甲しか頼るべき者がいない。Yは6歳と小さく、甲に頼らないと生きていけない。そのような甲から強い口調でぶどうを取ってくるよう言われれば、反抗することはできない。よって①を満たす。
甲はYに事前にぶどうの売り場を確認させており、またぶどうは6才のYにも持ち運び可能であるから、ぶどうの占有という法益を侵害する現実的危険がある。よって②も満たす。

*ここは未遂も検討したかったので、危険性ありとして不能犯にはしませんでした。
甲もYが反抗できないことを認識して、Yを利用しているから、③も満たす。
よって、実行行為性が認められる。
(2)もっとも、Yは果物コーナーの場所がわからず何も取ることができなかった。甲に未遂罪が成立するか、実行の着手があったかが問題となる。
未遂の処罰根拠は、法益侵害の現実的危険を発生させた点にあるから、実行の着手があったかは、法益侵害の現実的危険が発生したかにより判断する。
間接正犯の未遂についても、利用行為時、被利用行為時と区別することなく、法益侵害の現実的危険が発生したかにより判断すべきと解する。

*ここは学説対立があったところなので、一応触れておきました。三段論法を展開している余裕はないので、さらっと書いて、わかってますよアピールをするにとどめました。
Yは果物コーナーまでたどり着けておらず、C店のぶどうの占有侵害の現実的危険は生じていない。よって、窃盗未遂は成立しない。

*正しくは、C店ではなく、店長Bの占有です。

*実行行為性があるとしながら実行の着手がない、というのは我ながら分かりづらいなと思いましたが、どうやら大きくは減点されずに済んだようです。

2(1)甲がXにステーキ肉を取ってくるよう言ったことについて、窃盗罪の共謀共同正犯(235条、60条)が成立するか。
Xは13歳と中学生になっており、判断能力も備えており、甲の申し出に対し一度は「万引きなんて嫌だよ」と断っていることから、反抗を抑圧されたとはいえないので、甲に間接正犯は成立しない。

*Yとの違い、わかってますよとアピールするために一応書きました。また「反抗」と書いてますね。

では、共謀共同正犯が成立するか。甲は実行行為を行っていないことから、「共同して犯罪を実行した」(60条)といえるかが問題となる。
共同正犯が一部実行全部責任を負う根拠は、共犯の行為を介して法益侵害結果を惹起した点にある。
そうすると、実行行為を行っていない者であっても、①共謀があり②これに基づく共謀者の誰かの実行行為があり、③正犯性があれば、共同正犯が成立すると解する。
本件では、①甲はXに対しC店からステーキ肉を取ってくるよう言ったところ、Xも渋々ながら「わかった」とこれに応じていることから、①がある。
またXはこれに基づき、C店からステーキ肉を取ってきているから、②もある。
そして、甲はXに犯行を持ちかけている首謀者であり、「午後3時頃が狙い目」など具体的な指示も出している。またXが取ってきた肉は甲XYで全部食べており、分前も受けている。よって③もある。

*「分前」って、山賊じゃないんだから。「利益の帰属」とかかっこいいこと書きたかったな。
以上から、甲に窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。
Xが肉を取ってきた行為は窃盗罪が成立するが、Xは刑事未成年なので不可罰となる。これは一身的処罰阻却事由なので、甲の共謀共同正犯の成否に影響しない。

*Xの行為が窃盗罪の構成要件に該当すること、冒頭に書きなさいよ…。しかも「一身的処罰阻却事由」ってヤバすぎないか?「責任は個別に判断する」でしょ。

もっとも、甲は肉2枚取ってくるよう伝えたところ、Xは肉5枚と写真集を窃取していることから、共謀の範囲が問題となる。
共犯の処罰根拠は結果への因果性にあるから、共謀が因果性を与えた範囲で責任を負うと解する。

*規範らしきものは一応立てました。
肉2枚については共謀した通りもものだから、当然に責任を負う。
残りの3枚については、同じ肉であるしエコバッグも使っているから、心理的物理的因果性があるので、責任を負う。
写真集については、Xがにわかに欲しくなって手に取ったものであるから、新たに犯意を起こしたといえるので、心理的因果性が認められない。また、エコバッグを使わず手に取ったままなので、物理的因果性もない。よって、共謀が及んでいないから、甲は責任を負わない。

以上から、甲には肉5枚の窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。
3 罪数
甲には、肉5枚の窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。

第2 設問2
1 事後強盗罪は窃盗犯を身分とする身分犯であるところ、甲は窃盗犯ではないから事後強盗罪は成立しない。

*事後強盗罪は財産犯だから、その既遂未遂は窃盗の既遂未遂によって決まる。甲は窃盗未遂だから、事後強盗既遂ではなく未遂にとどまる、が正しいです。

甲に窃盗罪が成立するかについて検討すると、窃取とは、相手方の意思に反しその占有を自己の占有下に移転させることをいう。自己の占有下に移転したかは、対象物の大きさを考慮して判断する。
*問題文から適当に考慮要素拾ってます。
液晶テレビは50センチ✕40センチ✕15センチと大きく、甲のトートバッグからはみ出した状態にしたに過ぎず、すぐに陳列棚に戻しているから、甲の占有下に移したとはいえない。
よって窃盗罪は成立しないから、事後強盗既遂罪は成立しない。

*嘘です。窃盗未遂なので、事後強盗未遂罪にとどまり、既遂罪は成立しない、が正しいです。

2 事後強盗罪における暴行は、窃盗の機会に行われる必要があるところ、甲のFに対する暴行は、窃盗の機会に行われていないから、同罪が成立しない。
事後強盗罪は窃盗がその機会に暴行を伴うことが類型的に多いことから、規定されたものである。

*「暴行脅迫は財物奪取手段としてのそれと同視できる必要があるから、窃盗の機会に行われたことが必要である」と書きたかったです。

本件では、窃取から18分後に現場に隣接する駐輪場にて暴行が行われており、時間的場所的近接性があるとも思える。しかし、それより前にE店から400メートル離れた公園でとどまっていたが誰も追ってこなかったのであり、甲は安全圏に脱したといえる。よって、窃盗の機会とはいえないから、事後強盗罪は成立しない。

3 事後強盗罪は強盗罪とみなされるから、同罪における暴行は、反抗を抑圧する程度のものでなければならない。しかし、本件の暴行は、両手でFの胸部を1回押しただけであり、甲とFは同じ35歳の女性で力の程度は同じくらいと考えられるから、反抗を抑圧するものとはいえない。
よって、反抗を抑圧する暴行がないから、事後強盗罪は成立しない。

以上

*設問2はみんな時間がなくて書けなかったと思われるので、このくらい適当な感じでも差がつかなかったのかもしれません。