華々しくない合格体験記(案)

R4予備論文合格、口述結果待ちです。新司法試験の勉強の妨げにならない程度に、思うところを発信していこうと思います。

R4予備再現選択科目(国際私法)

国際私法は、選択科目の中でメジャーではなく需要はないかと思いますが、再現の程度が高くUPしやすいので、UPすることにしました。*今日は体調が悪く、あまり重い科目はやりたくなかったのです。

国際私法を選んだ理由はあまりちゃんと覚えてませんが、条文数が少ないからコスパがいいみたいな話を聞いたのと、基本7法は国内の話ばかりなので少し国外に目を向ける方が気が変わっていいかな、みたいなゆるい理由です。実務ではあまり使わなそうですけどね。

択一が終わってから、勉強を始めました。

まず、国際私法 (有斐閣ストゥディア)*大好きなシリーズです。デザイン、薄さなどなど。なぜか地元の図書館にあり、この図書館センスあるね!と感激して借りました。を読んで、

司法試験論文対策 1冊だけで国際私法[第3版]で過去問の傾向を調べて、あれ?ストゥディアじゃ足りなくない?ってなって、*当たり前です。予備試験なめてんのか。

国際関係私法入門〔第4版補訂〕: 国際私法・国際民事手続法・国際取引法演習国際私法 CASE30を辞書代わりに買いました。

結構時間がかかってしまい、「あーもう間に合わない。基本的なところの処理手順だけ抑えて、あとは条文と趣旨だけでその場で何とかしよう。初年度だからみんなもそんな仕上がってないでしょう。というかそうであってくれ。」という気持ちで臨みました。

本番で問題を見て、基本的なところが出たので「予備試験の神様、ありがとう」と心のなかで手を合わせました。

基本的な出題と言っておきながら細かいところ落としてますが、Aが付きました。ありがたや。

設問1
1 AB間の離婚が認められるかは離婚の実質的要件の問題であるから、通則法27条により準拠法を判断する。
27条が準用する25条は、夫婦の男女平等の観点から段階的適用を採用している。*正しくは、「夫婦の問題なので同一の準拠法によるべき、男女平等の観点からもどちらか一方の属人法を優先すべきではない」と書くべきでした。
2 まず、夫婦の本国法が同一か判断する。
ABは甲国籍であり、甲国は地域的不統一法国であるから、38条3項により本国法を判断する。
甲国には甲国人が甲国内のいずれの州に属するかを決めるような属人法の決定基準として用いられる統一的な準国際私法の規則は存在しない。そこで、同項かっこ書により再密接関係地域の法が本国法となる。なお、最密接関係地域は、本国の地域に限定される。
A女は、生まれてから結婚するまでの22年間P州に居住しており、現在35歳のAにとり人生の大半をP州で過ごしている。また親族も同州に居住している。よってP州が再密接関係地域となる。
B男は、生まれてから来日するまでの24年間Q州に居住しており、現在35歳のBにとり人生の大半をQ州で過ごしている。また親族も同州に居住している。よってQ州が再密接関係地域となる。
以上から、AB夫婦の本国法は同一ではない。

3 次に、夫婦の常居所地法が同一かを判断する。
常居所地とは、相当の期間、日常的に居住していることが明らかな地をいう。居住期間、通勤地、家族の居住地を考慮して判断する。
AもBも、日本に11年間居住しており、これは人生の約3分の1にあたる。日本にてAは日本の大学、Bは日本企業に勤務している。家族ABCは日本に居住している。よって、ABの常居所地は日本であって、同一である。以上から、離婚の準拠法は日本法となる。

4 したがって、日本民法を適用して判断すべきである。

設問2
小問1
日本の裁判所はCの親権者をAと定めることができるか。
離婚の際、親権者を誰と定めるかは、離婚の問題(27条)か、親子間の法律関係の問題(32条)か。
離婚の準拠法について定める27条が準用する25条は、夫婦中心の規定になっているのに対し、32条は子の利益を考え子を中心とした規定となっている。親権者が誰となるかについては夫婦より子への影響が大きいことから、後者の問題として32条により準拠法を判断すべきと解する。
子Cの本国法は、Cも甲国籍であることから、38条3項に基づいて本国法を判断する。Cは生まれてから来日するまで家族ABとともにQ州に住んでおり、他の州には住んだことがないから、Q州が最密接関係地となり、Q州民法が本国法となる。
そうすると、子Cと父Bの本国法がQ州民法で同一となるから、Q州民法が準拠法となる。
Q州民法①②によると、12歳のCは未成年であり、離婚をするときの親権は父のみとなるため、母であるAは親権者となることができない。
また、親権を父Bが行うことができるので、未成年後見(35条)も問題とならないし、公序(42条)にも反しないと解する。
以上から、Cの親権者をAと定めることはできない。*時間があれば、Bの暴行→Aによる未成年後見または公序を検討したかった。
小問2
1 離婚せざるを得なくなったことについての精神的苦痛に対する慰謝料
これは離婚の実質的要件と関連するから、離婚の問題として27条によるべきである。ABの離婚の準拠法は、設問1より日本法であるから、日本法を適用して判断すべきである。

2 Bの暴行についての精神的苦痛に対する慰謝料
これは不法行為の問題として、17条により準拠法を判断すべきである。*あれ?理由は?加害行為の結果発生地は日本であるから、日本民法が準拠法となる。そして、明らかにより密接な関係がある地の法はない(20条)。当事者による準拠法の変更(21条)もない。よって、日本民法を適用して判断すべきである。

以上

R4予備実務基礎刑事

実務基礎刑事です。実務基礎は民事と合わせてBですが、刑事単体だとよくてCだと思います。

試験中、設問1をどう書いていいかわからなくて、脂汗かいたの覚えてます。天を仰ぎため息を着いて「落ち着け〜落ち着け〜」とお茶を何回か飲みました。とにかく諦めるな、少しでもわかったことを用紙に書くんだ、書かなきゃ伝わらない、書けば少しは点数がつくかもしれないと。実際ギリギリで合格したので、諦めなくて本当によかったと思います。あのときの自分、グッジョブ!

そんなわけで、設問1はほとんど覚えていません。何かを書きなぐった記憶はありますが、再現性は低いです。そして今でもよくわかってないです。出題趣旨が発表されたらもう一度検討します。

設問1
(1)B供述の信用性
・3月1日夜Aから電話で犯行を誘われた部分
その日時にAから電話があったことは証拠⑪と一致している。しかしその会話の内容はわからない。
・AからAの父のナイフを渡されたとの部分
A方から差し押さえられたナイフはAの父のものであり(証拠⑬)、Bの供述と一致している。ナイフがAの父のものであるということは、Aから聞かなければわからないことであるから、Aから聞いて渡されたという供述の信用性は高い。このナイフにBの指紋が付着している(証拠⑭)。このことからナイフをBが触ったことがあるとわかるが、いつBが触ったかはわからない。
・犯行から約30分後、Uコンビニで、AがATMで金をおろそうとしたとの部分
犯行翌日、A方からカードが発見された(証拠⑫)。これはBがAにカードを渡したとの供述と矛盾しない。そして、通常盗品を持っているのは犯行に関与した者であるから、Aの関与が疑われる。証拠⑥⑦から、運転席から降りた男(甲)が、Uコンビニで、Vのキャッシュカードを使っていることがわかるところ、Bの供述と一致している。

これらのBの供述はBにとって不利益な内容の供述であり、Bがわざわざ嘘をついたとは考えにくい。またBの供述はAにとっても不利益となる内容だが、AはBの先輩で世話になったこともある存在だから、Bが嘘をついたとは考えにくい。またBは一貫して犯行を認め証拠⑩と同旨の供述をしているから供述の変遷もないし、その内容も具体的であるから信用できる。

以上から、B供述の信用性が認められると判断したと考える。Bの供述が客観的証拠と一致していること、BとAとの利害関係、供述内容の一貫性、具体性を書いたと思います。証拠構造みたいなことも考えようとしましたが全然できず、とりあえず大事そうな供述とその裏付けだけ書くという作戦に逃げました。供述の信用性だけ書けばいいのに、Aの犯人性の認定っぽいことも書いてしまい、そこはよくないと思います。修習ってこういうの起案するんですよね…。今から不安。(まず新司法試験に受かってから心配しましょう。口述も発表前だしね。)

(2)共謀共同正犯の成立
共謀共同正犯が成立するには、①共謀、②基づく実行、③正犯性が必要である。
AからBへの電話により①共謀が成立している。 この共謀に基づき、Bが犯行を実行しており、②をみたす。Aは犯行の首謀者であり凶器も提供しており車も運転しており、分け前も多いから、③正犯性もある。よって、Aに共謀共同正犯が成立すると判断した。*ほんとこのくらいしか書けてないです。刑法の答案だとしてもひどい。事実なんてなにも引用してない。何点かは入ったんですかね。いや〜冷や汗。

設問2
公判前整理手続の制度趣旨(316条の2第1項)は、争点、証拠を整理し、継続的、計画的かつ迅速な公判審理を実現することにある。本件の争点はAB間の共謀の有無にあるから、裁判所は検察官に対し、どのような事実と証拠に基づいて共謀の成立を立証するか、追加の証明予定事実記載書の提出を求めた。*未だにこの設問の出題趣旨がわかりません。316条の2が書ければいいってことなんですかね?
設問3
ウではBの証人尋問前なので、Aが第三者を介してBに虚偽の供述をするよう働きかけることを避けるため、接見禁止を請求した。AはBの地元の先輩で、共通の知人を介してこのような働きかけを行うことが可能であるし、Aは無罪を主張しているからそのような働きかけをするおそれがあったからである。
これに対し、エではBの証人尋問が終わっているので、そのような必要はなくなったので、接見禁止を請求しなかった。*罪証隠滅のおそれの要素を意識して書いてみました。しかし日本語下手くそだな〜。
設問4
(1)
「やむを得ない事由」があると考えたのは、Bが主尋問において、それまでの供述を覆したからである。
証拠⑪の証拠能力が認められると考えたのは、Bが自己矛盾供述したとして、Bの証人尋問での供述の信用性を弾劾するために、328条により弾劾証拠として用いるものであり、伝聞証拠として用いるものではないと考えたからである。
(2)証拠⑩を伝聞証拠としてではなく、弾劾証拠として用いるので、326条の同意ではなく、異議なしと述べた(規則190条2項)。*この辺はやっつけで書いてます。改めて検討すると、設問1と設問2、3、4の重みが全然違いますね。あ〜こわ。

R4予備実務基礎民事

実務基礎はBでした。このBが、今回の最大の功労者だと考えています。民事の方が刑事より出来はいいと思います。

試験後の感触は「やっちまったなぁ~」だったんですけどね。難しかったから相対的に浮いたんでしょうか。

 

設問1
(1)請負契約に基づく報酬支払請求権1個、債務不履行に基づく損害賠償請求権1個 *はい、さっそく間違えてます。「履行遅滞に基づく損害賠償請求権」です。
(2)原告は被告に対し300万円及びこれに対する令和4年5月28日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え *遅滞になるのは引渡しの翌日からなので、「令和4年5月29日から」が正しいです。たぶん。
(3)
1.Xは、令和4年2月8日、Yに対し、本件建物について本件工事の完成を約束した。
2.YはXに対し、本件工事の結果に対して、報酬1000万円を支払うことを約束した。 *請負契約の要件事実の書き方を知らなかったので、632条から必死で考えて、とにかく要素を漏らさないように丁寧に書きました。「Xは、令和4年2月8日、Yから本件建物について本件工事を代金1000万円で請け負った」で足りるようです。
3.Xは、令和4年5月28日、Yに対し、本件工事を完成させ、本件建物を引渡した。
4.YはXに対し、2に基づき、700万円を支払った *一部請求であることを明示する必要があると思ったのですが、どうやら不要のようです。よって書きで「1000万円のうち300万円の支払いを求める」と記載すればよいようです。大島本入門編より。ここで一部請求の事情を使ってしまったので、設問2(1)一部弁済の抗弁が答えられませんでした。
5.令和4年5月28日は経過した。
(4)
ア 報酬支払請求権
請負契約の成立 632条→1と2が必要。
報酬支払請求との関係では、仕事の完成が先履行。引渡しと同時履行(633条)。同時履行の抗弁権を消滅させるため、引渡しをしたことを示す必要→3が必要。 *正しくは、報酬支払請求権は契約締結だけで発生するが、権利の行使要件として仕事の完成が必要。引渡しは遅延損害金のために必要です。減点されずに済んだのかしら…。

一部請求であることを明示する必要がある→4が必要。 *前述のとおり、不要です。

イ 損害賠償請求権 *正しくは、遅延損害金です。本番では思いっきり415条の要件検討をしましたが、遅延損害金は415条の特則の575条2項の問題です。
①債務の本旨に従った履行をしない(415条1項)→履行したことが相手方の抗弁になるから不要。

②損害の発生→金銭債務については損害の証明を要しないから不要(419条2項)
③損害→金銭の給付を目的とする債務の不履行の損害賠償額は法定利率である年3分による(419条1項、404条2項)→記載不要
④債務者の帰責事由→ないことを相手方が主張するから不要

遅延損害金説だと、1)請負契約の成立→すでに現れているから不要。2)基づく引渡し→果実の取得と利息の取得が対応関係にあるので、必要(575条2項)。3)履行期の経過。4)損害の発生とその額→民事法定利率を請求する場合なので不要(419条1項、404条2項)。というようなことを書けばよかったのだと思います。自分の回答だと②③しか合ってませんね。

設問2
(1)(ⅰ)(ⅱ)⇒無回答

(ⅰ)Yは、令和4年2月8日、Xに対し、本件契約の報酬支払債務の履行として、700万円を支払った。(ⅱ)原告の一部請求に対し、被告が債務免除の主張をした場合、非請求部分から充当されてしまうので、非請求部分が弁済により消滅したことを主張しないと、債務免除の主張が主張自体失当となってしまうから。と書きたかったです。

本番では思い浮かばず、泣きたくなりました。でも設問3に時間を回したかったので、少し考えて分からなかった時点で諦めました。
(2)相殺の抗弁と反訴提起(146条1項)が考えられる。反訴は予備的反訴となる。*もっと丁寧に書きたかったけど、これが限界でした。

設問3
1 XとYとが本件契約を締結した事実を直接証明する証拠はない。
契約を締結するには、意思表示の合致が必要であるから、XとYの意思表示が必要となる。しかし、本件見積書①②はXが作成したものでYの意思表示は示されていない。そして契約書の作成はない。よって、契約締結終を直接証明する証拠はないと考える。*日本語おかしいですが、本番もこんな程度しか書けてないと思います。
2 しかし、XとYは本件契約を締結した事実が認められる。

Yは報酬額を700万円と主張するが、報酬額は1000万円である。
報酬額を1000万円とする見積書①が存在する。これは外壁工事も含む金額であるところ、実際に外壁工事を行っている。Yもこれを銀行にも提出しているから、Yも1000万円と認識していたことを示している。
確かに、報酬額を700万円とする見積書②も存在する。しかし、これは賃貸人に見せるために作成したものであり、実際にYは賃貸人に見せている。YはXがサービスすると言ったと主張するが、1000万円もの高額の工事の報酬を3割もサービスするわけがなく、Yの主張は合理性がない。*ここは配点が高いところだと思ったので、時間かけました。だらだら事実を書くのではなく、争点を明確にして事案を整理して書くことを意識しました。
設問4

Yの異議は認められる。

民事執行法35条2項は、請求異議事由は基準時たる口頭弁論終結後の事由に限られるとする。外壁の修補工事の事由たる雨漏りが生じたのは基準時前なので、異議事由として主張できないのが原則である。しかし同項の趣旨は、基準時前の事由は訴訟において主張することを期待できる点にある。そうであれば、前訴で主張することを期待できない場合には基準時前の事情であっても請求異議事由になると解する。
Yの相談内容(b)は、前訴の訴訟物とは異なる債権を主張するものであるし、これが認められた場合にその債権は消滅してしまうものであるから、前訴で主張を期待できるとはいえない。よって、(b)は請求異議事由になる。以上*ここも日本語おかしいですけど、本番もこんなもんです。

R4予備刑法再現

こんな間違いだらけだし、ワードがうろ覚え過ぎますが、Aがつきました。間接正犯と事後強盗既遂罪の知識がふわふわしてます。

たぶん、事案とちゃんと向き合って、厚く論じてほしそうなところは厚く論じたこと、なるべく事案を拾って検討したことが評価されたんだと思います。

問題文を読んで、答案構成のときに考えたこと

  • 書くこと多そうだから端的に書こう。最後まで何とか書ききることを最優先にしよう。
  • 刑法はみんな得意だから書き負けないように事案はちゃんと使おう。
  • YとXの違いは示す必要がありそう(Y6歳→道具→間接正犯、X13歳→スナック強盗事件→共謀共同正犯)
  • Xのところで共謀が及ぶ範囲は忘れずに書こう

第1 設問1
1(1)甲がYにぶどうを持ってくるよう言ったことについて、窃盗未遂罪(刑法235条、243条)の間接正犯が成立するか。
ア 甲はなんら実行行為を行っていないが、実行行為とは法益侵害の結果発生の現実的危険を発生させる行為であるから、他者を介しても実行行為となりうる。
具体的には、①その他者が反抗を抑圧されており道具性があり、②利用行為が法益侵害結果発生の現実的危険があり、③利用者に利用意思がある場合に、実行行為と認めうる。
*6歳に大型スーパーで窃盗させるって結構難しくない?迷子になるよ。これって不能犯なんじゃないの?と思いつつ、でも不能犯を論じてる余裕はない。その結果、間接正犯のところで実行行為性も組み込んで論じてみました。

*「反抗を抑圧」って…。強盗罪じゃないんだから。ここは「意思」の抑圧と書くべきでした。
イ 本件で、Yは甲XYと3人暮らしで、甲しか頼るべき者がいない。Yは6歳と小さく、甲に頼らないと生きていけない。そのような甲から強い口調でぶどうを取ってくるよう言われれば、反抗することはできない。よって①を満たす。
甲はYに事前にぶどうの売り場を確認させており、またぶどうは6才のYにも持ち運び可能であるから、ぶどうの占有という法益を侵害する現実的危険がある。よって②も満たす。

*ここは未遂も検討したかったので、危険性ありとして不能犯にはしませんでした。
甲もYが反抗できないことを認識して、Yを利用しているから、③も満たす。
よって、実行行為性が認められる。
(2)もっとも、Yは果物コーナーの場所がわからず何も取ることができなかった。甲に未遂罪が成立するか、実行の着手があったかが問題となる。
未遂の処罰根拠は、法益侵害の現実的危険を発生させた点にあるから、実行の着手があったかは、法益侵害の現実的危険が発生したかにより判断する。
間接正犯の未遂についても、利用行為時、被利用行為時と区別することなく、法益侵害の現実的危険が発生したかにより判断すべきと解する。

*ここは学説対立があったところなので、一応触れておきました。三段論法を展開している余裕はないので、さらっと書いて、わかってますよアピールをするにとどめました。
Yは果物コーナーまでたどり着けておらず、C店のぶどうの占有侵害の現実的危険は生じていない。よって、窃盗未遂は成立しない。

*正しくは、C店ではなく、店長Bの占有です。

*実行行為性があるとしながら実行の着手がない、というのは我ながら分かりづらいなと思いましたが、どうやら大きくは減点されずに済んだようです。

2(1)甲がXにステーキ肉を取ってくるよう言ったことについて、窃盗罪の共謀共同正犯(235条、60条)が成立するか。
Xは13歳と中学生になっており、判断能力も備えており、甲の申し出に対し一度は「万引きなんて嫌だよ」と断っていることから、反抗を抑圧されたとはいえないので、甲に間接正犯は成立しない。

*Yとの違い、わかってますよとアピールするために一応書きました。また「反抗」と書いてますね。

では、共謀共同正犯が成立するか。甲は実行行為を行っていないことから、「共同して犯罪を実行した」(60条)といえるかが問題となる。
共同正犯が一部実行全部責任を負う根拠は、共犯の行為を介して法益侵害結果を惹起した点にある。
そうすると、実行行為を行っていない者であっても、①共謀があり②これに基づく共謀者の誰かの実行行為があり、③正犯性があれば、共同正犯が成立すると解する。
本件では、①甲はXに対しC店からステーキ肉を取ってくるよう言ったところ、Xも渋々ながら「わかった」とこれに応じていることから、①がある。
またXはこれに基づき、C店からステーキ肉を取ってきているから、②もある。
そして、甲はXに犯行を持ちかけている首謀者であり、「午後3時頃が狙い目」など具体的な指示も出している。またXが取ってきた肉は甲XYで全部食べており、分前も受けている。よって③もある。

*「分前」って、山賊じゃないんだから。「利益の帰属」とかかっこいいこと書きたかったな。
以上から、甲に窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。
Xが肉を取ってきた行為は窃盗罪が成立するが、Xは刑事未成年なので不可罰となる。これは一身的処罰阻却事由なので、甲の共謀共同正犯の成否に影響しない。

*Xの行為が窃盗罪の構成要件に該当すること、冒頭に書きなさいよ…。しかも「一身的処罰阻却事由」ってヤバすぎないか?「責任は個別に判断する」でしょ。

もっとも、甲は肉2枚取ってくるよう伝えたところ、Xは肉5枚と写真集を窃取していることから、共謀の範囲が問題となる。
共犯の処罰根拠は結果への因果性にあるから、共謀が因果性を与えた範囲で責任を負うと解する。

*規範らしきものは一応立てました。
肉2枚については共謀した通りもものだから、当然に責任を負う。
残りの3枚については、同じ肉であるしエコバッグも使っているから、心理的物理的因果性があるので、責任を負う。
写真集については、Xがにわかに欲しくなって手に取ったものであるから、新たに犯意を起こしたといえるので、心理的因果性が認められない。また、エコバッグを使わず手に取ったままなので、物理的因果性もない。よって、共謀が及んでいないから、甲は責任を負わない。

以上から、甲には肉5枚の窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。
3 罪数
甲には、肉5枚の窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。

第2 設問2
1 事後強盗罪は窃盗犯を身分とする身分犯であるところ、甲は窃盗犯ではないから事後強盗罪は成立しない。

*事後強盗罪は財産犯だから、その既遂未遂は窃盗の既遂未遂によって決まる。甲は窃盗未遂だから、事後強盗既遂ではなく未遂にとどまる、が正しいです。

甲に窃盗罪が成立するかについて検討すると、窃取とは、相手方の意思に反しその占有を自己の占有下に移転させることをいう。自己の占有下に移転したかは、対象物の大きさを考慮して判断する。
*問題文から適当に考慮要素拾ってます。
液晶テレビは50センチ✕40センチ✕15センチと大きく、甲のトートバッグからはみ出した状態にしたに過ぎず、すぐに陳列棚に戻しているから、甲の占有下に移したとはいえない。
よって窃盗罪は成立しないから、事後強盗既遂罪は成立しない。

*嘘です。窃盗未遂なので、事後強盗未遂罪にとどまり、既遂罪は成立しない、が正しいです。

2 事後強盗罪における暴行は、窃盗の機会に行われる必要があるところ、甲のFに対する暴行は、窃盗の機会に行われていないから、同罪が成立しない。
事後強盗罪は窃盗がその機会に暴行を伴うことが類型的に多いことから、規定されたものである。

*「暴行脅迫は財物奪取手段としてのそれと同視できる必要があるから、窃盗の機会に行われたことが必要である」と書きたかったです。

本件では、窃取から18分後に現場に隣接する駐輪場にて暴行が行われており、時間的場所的近接性があるとも思える。しかし、それより前にE店から400メートル離れた公園でとどまっていたが誰も追ってこなかったのであり、甲は安全圏に脱したといえる。よって、窃盗の機会とはいえないから、事後強盗罪は成立しない。

3 事後強盗罪は強盗罪とみなされるから、同罪における暴行は、反抗を抑圧する程度のものでなければならない。しかし、本件の暴行は、両手でFの胸部を1回押しただけであり、甲とFは同じ35歳の女性で力の程度は同じくらいと考えられるから、反抗を抑圧するものとはいえない。
よって、反抗を抑圧する暴行がないから、事後強盗罪は成立しない。

以上

*設問2はみんな時間がなくて書けなかったと思われるので、このくらい適当な感じでも差がつかなかったのかもしれません。

C答案をめざす

巷で「予備論文は、全部Cを取れば合格する」と聞きますが、本当でしょうか?検証してみました。

以下、自分の成績です。これでギリギリ合格しました。本当にギリギリで、得点や順位を公開する気にもなれません。

Aが6点・・・Fが1点として平均を取ってみました。

はい、きれいに平均がCになりました。噂は本当のようですね。

 

自分は、能力(知力・体力)も時間も、受験者の中で相対的に不利な状況にあると認識していたので、

「全部Aがをとって上位合格を目指す!」などという高望みはしませんでした。

(そんなのは贅沢というものです。安くてそこそこ美味しくて栄養が取れれば十分です。って何の話?)

 

なので、全科目でホームラン答案(A)を目指そうとは思っておらず、コツコツヒット(C)を重ねていこう、空振り(E、F)だけは避けようという作戦でした。(思いっきり空振りしてるけどね!)

で、「どうしたらどんな問題が出されてもヒットが打てるか、というか空振りしないか」を考えたわけです。(某法律研究所の先生のすべらない答案というのも同趣旨だと思います)

能力も時間もない、暗記も苦手という自分が、どうやったら本番でそこそこの答案を書けるか。

とりあえず、

  1. 出題趣旨を見抜いて筋を外さない
  2. 事案をちゃんと使う(事案が使えないときは筋が間違ってると認識すべし)
  3. とにかく条文の要件に当てはめる。すんなり当てはまらないときに問題提起する。論証は覚えられないから、趣旨からその場で考える。このとき三段論法は崩さない。

に尽きるという結論に達しました。

 

1と2について付言すると、問題文に載っている事実は、現実の「生の事実」ではなく、出題者が答案に使ってほしい「生の事実」にすぎないはずです。出題者は答案から逆算して、問題文を作っているとも考えられます。

(自分はこのことに名探偵コナンを見ていて気が付きました。なんてわざとらしいストーリー展開なのだ、あとで絶対謎解きに使う事情しか出てこないやん、と。予備司法の論文の問題文も同じようなものですよね。)

 

3については、「法律ってこういうことだよね」という本質に気づけた気がします。

本来法律というのは、「条文の要件に当てはめる→全部当てはまったら効果が生じる」というものなわけです。

で、論文試験は、「要件該当性や効果の内容がその条文ど真ん中ではない事案を出して、要件効果の解釈を論じさせて理解を試す」というものなんだと思います。

司法試験の世界では「論証」という言葉が独り歩きしていて、自分も「論証を覚えて書かなければいけない」という思い込みがありました。(どんなに頑張っても覚えられないし、量も多いしでムーリーと諦めましたが)

でも、「論証というのは論文を書く上で、その場で考える時間を短縮するためにあらかじめ用意するものなのではないか、だったらなくてもいいんじゃない?」という風に考えるに至りました。(覚えててその場でうまく使えたら便利ですけどね。)

(例えるならcookdoみたいなものですかね。いいんです、自分は醤油と味噌と鶏ガラスープの素で麻婆豆腐作ります。)

 

とまぁ、こうした「最低限必要なこと」を考えることにより、司法試験委員会が求めているものの本質、さらには法律の本質が見えた気がします。(ないない尽くしの人間がとった、苦肉の策に過ぎなかったんですけど)

自分は新司法試験もこの戦略で行こうかなと考えてます。ちょっと足りないなと思ったら、適宜補いつつ、といったところでしょうか。